私の活きる道 ~家族のためにできること~

明日死ぬかのように生き、永遠に生きるかのように学ぶの記

私の料理のモチベーション

小3の娘と年長組の息子がいる。

二人とも、普段は学校・保育園の給食にお世話になっているが、

遠足の日と娘が学童保育で過ごす土曜日は、弁当がいる。

娘が1年生の年の秋以降、私は、二人の子どもの弁当を作り続けている。

f:id:owlforest:20120428153631j:plain

今回は、私の弁当作りのきっかけであり、モチベーションを持続してくれている

「弁当の日」の話から感じたことを書く。

 

 

 

「弁当の日」は、子ども(小学校5年生以上)が

自分で弁当を作った弁当を学校に持参して、

自分で食べるという取り組み。

保護者が手伝ってはいけないというのが、原則的なルールだ。

この取り組みの提唱者・竹下和男さんの講演を聴いたのが、

私が弁当を作り始めたきっかけだった。

 

講演は3度聴いた。

最初はテレビで。あとの2回は福岡市内の学校の公開講座で。

テレビを見ながら、涙があふれた。

手間を掛けて作った料理から、

こんなにも愛情を感じることができるなんて。

料理で、こんなにも愛情を伝えることができるなんて。

 

子どものために料理を作る!という一筋の信念が通った瞬間だった。

 

中でも、もっともグッと来た話がある。

「持ち寄り中華弁当のピーマン」のくだりだ。

 

何度目かの「弁当の日」を迎えた小学生5人が一計を案じた。

『5人で役割分担して、ひとり一品作って持ち寄ろう。テーマは中華!』

学校に着いてから、それぞれの一品を交換し合えば、

5品も揃った豪華な弁当が完成する、という計算だ。

 

このとき、ひとりの男の子がみんなに釘を刺した。

『俺、ピーマン嫌いやから、ぜったい入れるなよ』

これを聴いたチャーハン担当の女の子は、ひそかに思う。

『ようし、あの子が美味しいって認めるピーマン入りチャーハンを絶対作ってやる』と。

かくして、女の子はピーマンくさくないピーマン入りチャーハンの研究に取り組む。

 

試行錯誤し、家族にも試食してもらい、ようやく納得できるチャーハンができた。

女の子は、男の子の反応を想像してワクワクしながらチャーハンをタッパーに詰めた。

学校で一品交換のときが来た。女の子は、ドキドキしながらタッパーを開ける。

『うわっ、ピーマンくさい!』ピーマン嫌いの男の子が即座に反応した。

女の子のがんばりもむなしく、チャーハンは受け入れられなかったのだ。

 

「弁当の日」には、その締めくくりに感想文を書く。

女の子は感想文の中で泣いていた。

 

「一生懸命作ったチャーハンを、あの子は一口も食べてくれなかった。

それ自体悲しかったけど、もっと悲しいことがある。

それは、自分もお母さんに同じことをしてたと気づいたから。

お母さんが作ってくれた料理をひと目見ただけで『これ、嫌い』と

除けて食べてなかったことに気がついた。

私のためを思って、お母さんが一生懸命作ってくれた料理を私は・・・。

給食が終わっても、5時間目も6時間目もずっと

『お母さん、ごめん。お母さん、ごめん。』って思い続けて、心で泣いていた。」

 

料理をするから感じ取れる愛情がある。

料理を通して伝えることができる愛情がある。

反対に、料理の手間を惜しみ続けると愛情は伝わらない。

レストランやコンビニで満腹に食べても、心の空腹は埋まらない。

 

この講演に触れて、

私の弁当作りは始まった。

はじめは、段取り良くできなかった。

彩りまで気にする余裕はなかった。

冷凍食品にもずいぶん頼っていた。

 

しかし、愛情を意識しながら作るうちに、

だんだんと工夫もできるようになった。

苦役ではなく、楽しみだったから。

「子どもが大きくなって、自分で料理を作るときが来たら、

きっとこの愛情に気づいてくれる日がやってくるだろう」と。

 

そうして、約1年半。

週1回の弁当作りからスタートして、

冬休みには毎日作らなければならないことに気づき、

春休みを乗り越え、夏休みにはレパートリー増やしに挑戦した。

 

妻の仕事が多忙を極めるようになったここ1年は、

弁当以外の料理にも取り組んでいる。

 

朝食はほぼ毎日だし、休日の昼・夕食はもちろん、

仕事を早く切り上げて帰宅できた日の夕食も作っている。

(その分、朝は子どもと一緒に家を出て、

定時より1時間以上早く会社に着く努力をしている。)

 

最近では、子どもたちも

「今日の朝ごはんは、なぁに?」と、迷うことなく私のところへ聞きに来る。

小3になった娘には、卵焼きの巻き方を教え始めた。

年長の息子も、フレンチトースト作りを楽しんで手伝ってくれる。

 

料理を通して、愛情が伝わり始めていると感じている。